精神障害 業務起因性 認定基準
Labor Accident — Mental Disorder Recognition業務上の心理的負荷による精神障害(うつ病・適応障害等)が労災認定されるための基準(令和5年改正対応)。社労士試験で頻出の認定要件・フローを解説します。
認定の3要件(すべて満たす必要あり)
① 対象疾病
ICD-10に基づく精神障害(F0〜F9)
うつ病・適応障害・ASDなど
※アルコール依存症等は除く
うつ病・適応障害・ASDなど
※アルコール依存症等は除く
② 業務による強い心理的負荷
発病前おおむね6か月以内に業務による「強」の心理的負荷が認められること
心理的負荷評価表で判断
心理的負荷評価表で判断
③ 業務以外の要因がない
私傷病・個人的問題等、業務以外の心理的負荷・個体側要因が認められないこと
認定フロー
1対象疾病か確認 ICD-10 F0〜F9に該当するか
↓
2業務による心理的負荷を評価 心理的負荷評価表(具体的出来事)で強・中・弱を判断
↓
3業務以外の要因を確認 私生活上の出来事・個体側要因の有無を検討
↓
4①②③をすべて満たす → 業務上
※業務による心理的負荷が「強」でなくても、業務以外の要因が複数重なる場合等に総合判断することがある。
心理的負荷評価表(主要具体的出来事・令和5年改正対応)
| 具体的出来事 | 平均的強度 | 典型例・注意点 |
|---|---|---|
| 【パワーハラスメント・ハラスメント】 | ||
| 上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた | 強 | 継続的・执拗な行為は特に「強」。一時的な指導・叱責は「弱」となることもある |
| セクシュアルハラスメントを受けた | 強 | 行為の態様・継続性・会社の対応により変化 |
| 【仕事の量・質】 | ||
| 1か月に80時間以上の時間外労働を行った | 強 | 2か月連続100時間以上も「強」(令和5年改正で明確化) |
| 1か月に45〜79時間の時間外労働を行った | 中 | 他の出来事と重なると「強」になる場合あり |
| 重大な事故・災害を経験した(本人が被災) | 強 | PTSDの原因となる事故等は「強」 |
| 達成困難なノルマを課せられた | 中 | 到底達成不可能なノルマは「強」になることあり |
| 【役割・地位の変化】 | ||
| 退職を強要された | 強 | 「強」。解雇・退職勧奨との区分に注意 |
| 配置転換・出向があった | 中 | 大幅な職種変更・不利益な転勤は「強」 |
| 解雇・雇止めにあった | 中 | 突然の解雇は「強」の場合あり |
| 【対人関係】 | ||
| 同僚等から、暴行又はひどいいじめ・嫌がらせを受けた | 強 | 継続・复数による場合は特に「強」 |
| 顧客や取引先から著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)を受けた | 中 | 令和5年改正で追加。継続的・深刻な場合は「強」 |
複数事業労働者の精神障害 認定
合算評価の原則(令和2年改正)
複数の事業場で就労している場合、すべての事業場での業務による心理的負荷を総合的に評価する。1つの事業場では「強」に達しない心理的負荷でも、複数の事業場の負荷を合算して「強」と判断されれば業務上となる。
(労災法第7条・複数業務要因災害)
試験対策ポイント
1. 認定の3要件は必須暗記
①対象疾病(ICD-10 F0〜F9)②発病前6か月以内に業務による「強」の心理的負荷③業務以外の要因がないこの3つがすべて揃って初めて業務上と認定される。
2. 「強」の典型例を押さえる
月80時間超の時間外労働・パワハラ・退職強要・重大な事故の経験などが「強」の代表例。1か月45〜79時間の時間外は「中」。他の出来事と複合する場合に「強」になりうる。
3. 「6か月以内」の期間
評価対象は発病前おおむね6か月以内の業務上の出来事。これを超える長期間の出来事は通常対象外(ただし継続するハラスメント等は例外)。