概要
特別支給の老齢厚生年金
Special Old-age Employees' Pension厚生年金保険法附則第8条 / 60〜64歳に支給される経過措置の老齢厚生年金
特別支給の老齢厚生年金は厚生年金の支給開始年齢引き上げの経過措置として、生年月日に応じて60〜65歳の間に支給されます。定額部分・報酬比例部分の両方または報酬比例部分のみが支給され、障害・配偶者等の加算も付く場合があります。請求しなければ受け取れないため年金事務所への請求を忘れずに。
60〜64歳の経過的な給付
報酬比例部分のみ先行支給
生年月日により支給開始年齢が異なる
計算ツール
支給要件
① 年齢・生年月日
支給開始年齢(60〜64歳)に達していること。生年月日により年齢が異なる。
② 厚生年金の被保険者期間
1年以上(12か月以上)の被保険者期間が必要。
※老齢厚生年金(65歳〜)の1か月以上とは異なる点に注意
※老齢厚生年金(65歳〜)の1か月以上とは異なる点に注意
③ 受給資格期間
老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間等の合計)10年以上を満たすこと。
試験ポイント:繰上げ・繰下げは不可。在職中(厚生年金被保険者)は在職老齢年金(令和8年度実額65万円・法定62万円)が適用される。
入力
計算結果
報酬比例部分の支給開始年齢
63歳
定額部分の支給開始年齢
廃止(なし)
特別支給の老齢厚生年金(年額)
619,595 円 / 年
月額換算 約 51,632 円 / 月
報酬比例部分(旧)135,000 円
報酬比例部分(新)484,595 円
報酬比例部分(計)619,595 円
定額部分廃止(0円)
合計619,595 円
定額部分は廃止済みのため、報酬比例部分のみの支給です。
生年月日別 支給開始年齢一覧
男性
| 生年月日 | 定額部分 | 報酬比例部分 |
|---|---|---|
| 〜1949.4.1 | 60歳 | 60歳 |
| 1949.4.2〜1951.4.1 | 61歳 | 60歳 |
| 1951.4.2〜1953.4.1 | 62歳 | 60歳 |
| 1953.4.2〜1955.4.1 | 63歳 | 61歳 |
| 1955.4.2〜1957.4.1 | 64歳 | 62歳 |
| 1957.4.2〜1959.4.1 | 廃止 | 63歳 |
| 1959.4.2〜1961.4.1 | 廃止 | 64歳 |
| 1961.4.2〜 | 廃止 | 廃止 |
女性(男性より5年遅れ)
| 生年月日 | 定額部分 | 報酬比例部分 |
|---|---|---|
| 〜1954.4.1 | 60歳 | 60歳 |
| 1954.4.2〜1956.4.1 | 61歳 | 60歳 |
| 1956.4.2〜1958.4.1 | 62歳 | 60歳 |
| 1958.4.2〜1960.4.1 | 63歳 | 61歳 |
| 1960.4.2〜1962.4.1 | 64歳 | 62歳 |
| 1962.4.2〜1964.4.1 | 廃止 | 63歳 |
| 1964.4.2〜1966.4.1 | 廃止 | 64歳 |
| 1966.4.2〜 | 廃止 | 廃止 |
試験対策
試験対策ポイント
定額部分の計算(附則第9条の2)e-Gov↗
定額部分 = 1,766円(令和8年度)× 被保険者期間月数(上限480月)。 支給開始年齢は生年月日によって段階的に引き上げられ、男性は昭和32年4月2日以降生まれから廃止。報酬比例部分のみの支給(附則第8条)e-Gov↗
定額部分廃止後も報酬比例部分のみ60〜64歳で支給される世代がある。 男性は昭和36年4月1日まで、女性は昭和41年4月1日まで対象。 65歳以降は通常の老齢厚生年金(報酬比例部分 + 老齢基礎年金)に移行。加給年金(附則第11条)e-Gov↗
定額部分がある場合のみ加算可。被保険者期間 240月以上 かつ生計維持対象者あり。 報酬比例部分のみの場合は加給年金の対象外。受給要件
①厚生年金の被保険者期間 1年以上(12か月以上)、②老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たすこと。※65歳からの老齢厚生年金は1か月以上で足りるが、特別支給は1年以上が必要(附則第8条) 在職中(厚生年金の被保険者中)は在職老齢年金の支給停止が適用される。
繰上げ・繰下げとの関係
特別支給の老齢厚生年金は繰上げ受給・繰下げ受給のいずれも不可。支給開始年齢は生年月日によって法定されており、変更できない。65歳からの老齢厚生年金・老齢基礎年金については繰上げ・繰下げが可能。試験頻出のひっかけ問題。65歳以降:加給年金から振替加算へ
加給年金は本人が65歳になると打ち切られる。ただし加給年金の対象だった配偶者が65歳になると、今度は配偶者側の老齢基礎年金に「振替加算」が加算される。
振替加算の仕組み(厚年法附則第14条)e-Gov↗
加給年金(本人側)
対象:本人が特別支給または老齢厚生年金を受給中
条件:被保険者期間240月以上 + 配偶者が65歳未満
→ 配偶者が65歳になると消滅
対象:本人が特別支給または老齢厚生年金を受給中
条件:被保険者期間240月以上 + 配偶者が65歳未満
→ 配偶者が65歳になると消滅
振替加算(配偶者側)
対象:配偶者の老齢基礎年金に上乗せ
条件:配偶者が1966年4月1日以前生まれ
→ 配偶者が65歳になると自動的に開始
対象:配偶者の老齢基礎年金に上乗せ
条件:配偶者が1966年4月1日以前生まれ
→ 配偶者が65歳になると自動的に開始
試験ポイント:振替加算の額は配偶者の生年月日によって逓減する。1966年4月2日以降生まれの配偶者には振替加算は加算されない(第3号被保険者期間があり、老齢基礎年金を受給できるため)。
在職中の支給停止(在職老齢年金)
60〜64歳の間に厚生年金の被保険者として働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、在職老齢年金のルールが適用される。標準報酬月額+年金月額の合計が支給停止基準額(65万円・令和8年度実額)を超えると、超えた分の半額が支給停止になる。
60〜64歳の停止ルール(厚年法附則第11条)e-Gov↗
停止額 =(総報酬月額相当額 + 年金月額 − 65万円)÷ 2※総報酬月額相当額 = 標準報酬月額 +(直近1年の標準賞与額合計 ÷ 12)
65歳以降は停止基準額が引き上げられる(在職老齢年金は継続するが条件が変わる)。
在職老齢年金の詳細計算 →
当事者視点
60歳台前半で年金を受け取れる方へ
厚生年金に1年以上加入した方は、生年月日・性別によっては65歳前から「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れます。受給開始年齢を確認しておきましょう。
✅ 生年月日によって受給開始年齢が異なります
特別支給の老齢厚生年金は段階的に支給開始年齢が引き上げられており、男性は昭和36年4月2日以降、女性は昭和41年4月2日以降生まれの方は対象外です。上のツールで自分の生年月日と性別を入力して確認してください。
✅ 働きながらでも受給できます(在職老齢年金)
在職中でも特別支給の老齢厚生年金は受給できますが、賃金と年金の合計額が一定基準(62万円/月)を超えると年金が一部または全部停止されます(在職老齢年金)。受給しながら働く場合は必ず確認しましょう。
✅ 65歳からは老齢厚生年金(本来支給)に切り替わります
特別支給は65歳になると終了し、65歳からは本来の老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給が始まります。また65歳以降は加給年金の対象にもなります。年金事務所から届く請求案内に従って手続きを行いましょう。
法令
根拠法令
厚生年金保険法附則 第8条
e-Gov
60〜64歳の経過的な老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)を規定。報酬比例部分のみ先行支給(定額部分は生年月日により別途支給)。支給開始年齢は生年月日により異なる。
60〜64歳の経過的な老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)を規定。報酬比例部分のみ先行支給(定額部分は生年月日により別途支給)。支給開始年齢は生年月日により異なる。
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