主婦年金(第3号被保険者)廃止・縮小
国民年金法第7条第1項第3号自民党・日本維新の会が縮小方向で一致したと報道。ただし廃止の具体的な方法・時期は未確定です。 段階的な縮小(適用条件の厳格化)か、保険料の課税か、など複数の案が議論されています。
主婦年金とは、会社員・公務員(第2号被保険者)に扶養される配偶者が、 保険料を負担せずに国民年金(老齢基礎年金)を受け取れる制度(1985年創設)です。 年収130万円未満であることが主な要件で、対象者は約700万人。 2010年代以降、共働き世帯の増加・労働力不足・財源問題を背景に廃止・縮小議論が加速しています。
第3号被保険者制度とは
| 種別 | 対象 | 保険料 | 年金 |
|---|---|---|---|
| 第1号 | 自営業・フリーランス・学生 | 月 約16,980円(自己負担) | 老齢基礎年金 |
| 第2号 | 会社員・公務員 | 厚生年金保険料(労使折半) | 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 |
| 第3号 | 第2号の被扶養配偶者(年収130万未満) | ゼロ(第2号全体で負担) | 老齢基礎年金(満額の場合 年約82万円) |
第3号は保険料を払わなくても老齢基礎年金を受け取れる、世界的にも珍しい制度です。 その財源は第2号被保険者(会社員・公務員)全体が「広く薄く」負担する仕組みになっています。
制度創設から廃止議論まで — 歴史的経緯
なぜ廃止・縮小の議論が起きているのか
数字で見る「なぜ今、廃止議論なのか」
制度創設時(1985年)は共働きが少数派だった
女性8.0万人・男性2.6万人
廃止反対論の経済的根拠
うち「パート就業あり」が多数を占める
1985年の制度創設時は専業主婦が多数派で、第3号はその保護を目的としていました。 40年後の現在、共働きが約70%に達し、「保険料ゼロで年金を受け取る」という設計前提が崩れています。 また、介護離職10.6万人という数字は、第3号廃止と家事支援産業化がセットで必要な理由を示しています。
政府の3本セット政策
第3号廃止だけでは「専業主婦に働けと言っても、育児・介護で離職せざるを得ない」という問題が残ります。 そこで政府は以下の3つをセットで進める構想を持っています。
① 第3号被保険者の縮小・廃止
自民・維新が縮小方向で一致。適用要件の厳格化(年収上限引き下げ等)か、保険料課税かが議論中。 2026年時点で具体的な方法・時期は未確定。
② 家事代行・ベビーシッター 税額控除
家事代行・ベビーシッターの利用料に税額控除を適用する方針で調整中。住宅ローン控除と同様の仕組みで、 所得にかかわらず一定額を税から直接控除する方向。2026年内に詳細が発表される見通し。
③ 家事支援 国家資格の創設
子ども家庭庁・厚生労働省・経済産業省が連携し、家事支援・育児・介護を担う業種に国家資格を創設。 2027年秋に第1回試験実施予定。国家資格の取得者によるサービスを利用した場合に税額控除が 適用される仕組みになる見通し。
試験対策ポイント
- 第3号の要件(国年法第7条第1項第3号):第2号の配偶者・20歳以上60歳未満・年間収入130万円未満(障害者等は180万円未満)・主として第2号の収入で生活していること
- 種別変更の届出:第3号は14日以内に第2号の事業主を通じて届出が必要。届出が遅れた場合でも、第3号該当期間は「第3号被保険者期間」として扱われる(2009年4月〜)
- 合算対象期間(カラ期間):第3号への届出を怠った「未届け期間」は合算対象期間となり、年金額には反映されないが受給資格期間には算入される
- 財源負担の仕組み:第3号の保険料は本人負担ゼロ。第2号被保険者全体の厚生年金保険料の中から基礎年金拠出金として拠出される仕組み
- 第3号 → 第2号の移行促進:130万の壁 → 106万の壁(2016年)→ 週20時間(2025年)と適用範囲が段階的に拡大。試験では改正年度・要件の数字を問われる
- 廃止議論は直接は未出題だが:制度の背景・財源の仕組み・離婚時の年金分割(分割されるのは厚生年金のみ)は頻出論点
主婦・主夫・共働き世帯の方へ
廃止・縮小がどのような形で行われるかによって、家計への影響は大きく異なります。 現時点では確定していないため、今できることは「現行制度の正確な理解」と「動向のウォッチ」です。
✅ 現在、第3号に該当するか確認しよう
年収130万円未満、かつ配偶者が会社員・公務員(第2号)であれば現在は第3号に該当し保険料は免除です。 ただし「年収130万」は交通費や残業代も含む見込み額で判断されます。 パート収入が増えている場合は第2号(社会保険加入)への移行も検討を。
✅ 縮小された場合、年間負担は最大 約20万円増
国民年金保険料は2025年度で月約16,980円(年約20万円)。 第3号が廃止・縮小されれば、この金額の全額または一部を自己負担する可能性があります。 ただし、保険料を払えば将来の年金額が増える(未払い期間より有利になる)側面もあります。
✅ 専業主婦・主夫の「見えない労働」の価値
内閣府の試算では、家事の貨幣価値は女性1人年間約194万円(2021年)。 専業主婦・主夫が担う家事・育児・介護は、配偶者の就労を支える「無償労働」として 社会的価値があります。この点は廃止反対論の重要な根拠でもあります。 今回の家事代行減税・国家資格創設は、この無償労働を「産業化」して社会的に認める 方向への転換と見ることもできます。