労務ハック

労務管理 × 社労士試験対策

コラム › 入門

社会保険とは何か?健保・厚年・国年・雇用・労災をまとめて理解する

2026年4月 | カテゴリ:入門

「社会保険に入っていますか?」という問いかけを就職活動や転職活動でよく耳にします。しかし「社会保険」という言葉は、実は一つの制度を指すわけではありません。日本では複数の公的保険制度をまとめて「社会保険」と呼ぶ慣習があり、文脈によって意味する範囲が変わります。この記事では、日本の社会保険制度の全体像を整理し、それぞれの制度が「誰のために、何を保障するのか」を分かりやすく解説します。

社会保険の5制度

日本の社会保険は大きく分けて5つの制度から構成されています。会社員が「社会保険に加入している」という場合は、このうち健康保険・厚生年金・雇用保険・労働者災害補償保険の4つに加入しているのが一般的です。国民年金は全国民が加入する制度であり、会社員の場合は厚生年金の「第2号被保険者」として国民年金にも同時に加入しています。

制度名保障する出来事主な対象保険者
健康保険 病気・ケガ・出産 会社員・公務員 協会けんぽ・健保組合
厚生年金保険 老齢・障害・死亡 会社員・公務員 政府(日本年金機構)
国民年金 老齢・障害・死亡 全国民(20〜60歳) 政府(日本年金機構)
雇用保険 失業・育児・介護 週20時間以上の労働者 政府(ハローワーク)
労働者災害補償保険 業務上・通勤中の災害 すべての労働者 政府(労働基準監督署)

「2階建て」の年金制度

日本の公的年金は「2階建て」の構造になっています。1階部分が国民年金(基礎年金)で、全国民共通の基礎的な保障です。2階部分が厚生年金で、会社員・公務員が上乗せで加入します。自営業者やフリーランスは1階部分の国民年金のみ加入し、希望する場合は国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)で上乗せできます。

この構造が分かると、老後の年金受給額の差が「加入していた制度の違い」から生まれることが理解できます。会社員として長く働いた人は厚生年金分が上乗せされるため、自営業者より老齢年金が多くなる傾向があります。ただし、保険料負担も会社員の方が大きく(会社と折半)、一概に有利不利とは言えません。

労働保険と社会保険の違い

実務では「労働保険」と「社会保険」を区別して使うことがあります。労働保険は雇用保険と労働者災害補償保険(労災保険)の2つを指し、厚生労働省・労働基準監督署・ハローワークが管轄します。一方、社会保険は狭義では健康保険と厚生年金保険を指し、日本年金機構・健保組合が管轄します。

会社の担当者が「労働保険の申告をする」と言う場合は労災保険・雇用保険の年度更新手続き、「社会保険の手続き」と言う場合は健康保険・厚生年金の資格取得・喪失届などを指すのが一般的です。社労士試験でも、科目ごとにどの保険者・監督官庁が担当するかが問われるため、この区別は重要です。

保険料の負担方法

社会保険料の負担方法は制度によって異なります。健康保険・厚生年金は労使折半(事業主と労働者が半分ずつ負担)が基本です。雇用保険は労使ともに負担しますが、事業主の負担割合が多くなっています。労災保険は全額事業主負担で、労働者の保険料負担はありません。国民年金は定額保険料(2026年度:月額16,980円)を全額本人が納付します。

会社員にとって社会保険料は給与から自動的に控除されるため、意識しにくいコストです。しかし毎月の保険料負担は決して小さくなく、給与の約30%近くが社会保険料・税金として控除されることもあります。制度の仕組みを理解することで、自分の給与明細を正確に読み解けるようになります。

まとめ

社会保険は病気・老齢・失業・業務災害など、人生のさまざまなリスクに備える仕組みです。健康保険・厚生年金・国民年金・雇用保険・労災保険の5制度それぞれが異なるリスクに対応しており、互いに補完し合っています。社労士試験ではこれら5制度を横断的に理解することが求められます。各制度の詳細は、科目別の解説ページをご参照ください。

健康保険の解説へ 厚生年金の解説へ 雇用保険の解説へ 労災保険の解説へ