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安衛法改正 — 個人事業者・一人親方の保護

2026年4月施行
2026年4月から、個人事業者・一人親方・フリーランス等も労働安全衛生法の保護対象および義務主体に加わります。 従来は「労働者」を使用する事業者のみが対象でしたが、雇用によらない就業者への安全衛生確保が法律上の義務となります。

改正の背景

建設業・林業等では一人親方・下請の個人事業者が作業現場に混在する。 これまで労働安全衛生法(安衛法)は雇用関係のある「労働者」を保護対象としており、 個人事業者は保護も義務も適用外だった。

しかし現場での死亡・重傷事故に占める個人事業者の割合が高く、 またフリーランス保護法(2024年11月施行)とも連動する形で、 安衛法の適用範囲を拡大する改正が行われた。

改正の主要ポイント

① 個人事業者等を「保護対象」に追加

個人事業者・一人親方が、注文者(発注事業者)から業務委託を受けて作業を行う場合、 注文者は安全衛生上必要な措置を講じる義務を負う。

改正前改正後(2026年4月〜)
安衛法の保護対象 = 雇用された「労働者」のみ 個人事業者・一人親方等も保護対象に追加
注文者の安全衛生義務 = 労働者に対してのみ 個人事業者への注文者の安全衛生義務も明文化

② 個人事業者自身も「義務主体」に

  • 自らの安全衛生確保の措置(保護具着用等)を講じる努力義務
  • 他の労働者・個人事業者の安全を侵害しない義務
  • 特定の業種(建設・林業等)では安全衛生教育の受講義務

③ 適用業種・作業の範囲

  • 優先適用業種:建設業・林業・製造業など労災リスクの高い業種
  • 特定危険作業(高所作業・有害物取扱い等)を行う個人事業者が主な対象
  • 全業種・全作業への一律適用ではなく、政省令で対象作業を指定

注文者(発注事業者)の具体的義務

義務の種類内容
安全衛生教育の実施雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育に準じた教育機会の提供
保護具等の提供・使用指示作業に必要な保護具(ヘルメット・安全帯等)の提供または使用の指示
健康診断の機会確保特定の有害業務に従事させる場合、健康診断の機会を設けるよう努める
危険・有害情報の提供作業場の危険・有害要因に関する情報をあらかじめ提供
重要:これらの義務は労働者と同様の水準で個人事業者にも適用されます。 注文者が措置を怠った場合、安衛法の違反として罰則(罰金等)の対象になりえます。

フリーランス保護法との関係

フリーランス保護法(2024年11月施行)は業務委託における書面明示・報酬支払期日・ハラスメント対策を義務化。 今回の安衛法改正はこれと連動し、安全衛生面での保護も加わる形となる。

2本の法律の補完関係:

法律保護内容
フリーランス保護法(2024年11月〜)取引条件の透明化・報酬保護・ハラスメント対策
安衛法改正(2026年4月〜)安全衛生・労災防止・健康確保

試験頻出チェックポイント

  • 安衛法の従来の保護対象は「労働者」(雇用関係のある者)のみ
  • 2026年4月改正で個人事業者・一人親方も保護対象に追加(全業種ではなく政省令指定の対象作業)
  • 個人事業者自身も安全措置の努力義務を負う(義務主体にもなる)
  • 注文者(発注事業者)は個人事業者への安全衛生措置を義務として負う
  • フリーランス保護法(取引保護)と安衛法改正(安全衛生保護)はセットで理解